警備員室に着くと、金清はまた本来の口八丁を発揮して、SDカードを首尾よく手に入れた。二人が海智の病室で映像を確認していると、そこへ亡霊のように憔悴しきった一夏が入ってきた。既に私服に着替えている。海智に先客があるのに気付いて戸惑った様子だった。

「君が一夏ちゃんか。可愛い看護師さんがいるなと思っていたけど、まさか君が一夏ちゃんだったとはね」

「あ、こんにちは」

一夏はお辞儀をして、海智のベッドに座り込んだ。

「大丈夫?」

海智が彼女の顔を覗き込むようにして訊ねた。

「警察から色々聞かれたわ。ご遺体は解剖になるそうよ」

「梨杏を見たことは言ったのかい?」

「言ったわ。でも全然相手にしてもらえなかった」

「だろうな。警察は頭が固いから」

「おいおい、元警察官を前にしてそれはないだろう」

「金清さんは別ですよ。だって僕らの言うことを信じてくれるでしょ」

「え? ああ、そりゃまあ・・・・・・」

「この監視カメラの映像も金清さんのお陰で手に入れたんだ。今から昨夜の映像をチェックする」

次回更新は4月13日(日)、11時の予定です。

 

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