【前回の記事を読む】「お前を友達と思ったことはない。ただ――」冷酷な一言の後、男が下した予想外の決断とは
眠れる森の復讐鬼
「梨杏が死んだことで生きる意欲を失ったんじゃないかな。とにかく気にするな。せめてこれからは皆明るく生きようじゃないか」
金清は笑顔でそう言うと、席を前にずらして、二人に椅子を勧めた。
「今城蒼の自宅を捜索した時に彼の部屋から梨杏の遺書が見つかった。自分が中村大聖と石川嵐士を殺したと自白する内容で、それは今県警が保管している。だが、もう一通手紙があったんだよ」
「もう一通?」
「ああ、ここに持ってきている。一夏ちゃん、君宛だ」
「えっ」
金清は胸ポケットから手紙を取り出し、一夏に手渡した。彼女は恐るおそる手紙を開いた。
一夏へ
長い間、だましてごめんね。
お母さんからこの病院に一夏が看護師として就職したと聞いた時は驚いたけど、とても嬉しかった。
本当はすぐにでも話がしたかったけど、私が急に目覚めたらきっとびっくりしたよね。 でも、一夏の存在はすぐ身近に感じていたよ。
だけど、あの三人が同じ病棟に入院してきて、また虐められるんじゃないかと思って怖いのと同時にどうしても許せなくなったの。
だからあの二人は私が殺しました。
けれど、そのせいで一夏が犯人と疑われていると知って本当に自分が情けなくなった。あんなに良くしてくれた友達をこんな残酷な方法で苦しめるなんて思ってもみなかった。
だから、私は死をもってこの罪を償います。
これで一夏への疑いも晴れると信じています。
ほんの一瞬だったけど、最後に一夏の顔が見られてよかった。
ただ、一夏はすごい顔してたけどね。
高校の時、二人で遊んだ思い出は私にとって一生の宝物だよ。
一夏に会えて本当に良かった。
ありがとう、一夏。
梨杏より。
手紙の両端がくしゃくしゃになる程強く握り締めている一夏の両手がわなわなと震えた。手書きの文字の上に大粒の雫がぽたぽたと落ちてインクを滲ませた。