いや、以前から考えるよりも先に身体の核に変化はあって、その構図が出来つつ有った。人間とは不思議な生き物。

思春期に入った年頃に、誰かに恋をして身体の性感が自然に昂まり、相手との性行為を欲する。

普通に成長をすれば、その様にプログラムされている様に、必然的に起こるのであるが、その事に誰も疑問を持たない。男女共、容貌次第で異性の群がり方に差が出来てくる。

まさしく、これからの仙一や、一夫にとってもその様に経験が訪れるだろう。だが、本人達はまだその事には気づいていないのか。

仙一の働く酒造会社、紹山の前を市電が走っていた。

御影石(花崗岩)で出来た敷石が、線路に敷き詰められてそれが続く。

そして、コンクリートで固めた15センチ程の高さのプラットホームが、市電の長さ分の停留所の印である。夜になっても、民家の明かりと電柱の裸電球以外照らす物は殆どなく、それでも老人が転(こ)けたり、怪我をしたといったアクシデントは起こらなかった。市電伏見線は、京都市内から中書島(ちゅうしょじま)を結ぶ路面電車で、京都駅前から勧進橋を経て南へは中書島まで。

終点の中書島駅で、京阪電車へ乗り継ぐと、大阪天満橋、北は三条へと、それぞれ中書島駅で急行が連絡をしていた。

 

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