【前回の記事を読む】「それなんぼや、わしが買うわ」…自分も欲しかったけど、先輩に先を越された。いつも先輩に譲る様にしている。諦めに似た感情で…まだあどけなさの残るその少女は、商店街の乾物屋の〝昆布屋〟の娘なのは仙一も前から知っていた。近所の人達は、昔からその乾物屋の久世さんを、屋号では呼ばず代表の商品で〝昆布屋はん〟と親しみを込めて呼ぶ。そういった呼び名の簡略化は、その辺りでは別に珍しくもない。…
[連載]仙一
-
小説『仙一』【第7回】古川 晋次
「仙一は女の子に夢中で、飴どころやなかったんや」──昭和の商店街。少年の恋? 飴細工より甘かった視線の行方
-
小説『仙一』【第6回】古川 晋次
「それなんぼや、わしが買うわ」…自分も欲しかったけど、先輩に先を越された。いつも先輩に譲る様にしている。諦めに似た感情で…
-
小説『仙一』【第5回】古川 晋次
着物の袖口から垣間見える二の腕がなまめかしく、それを見たいが為に、タバコの使いっ走りを買って出ていた。色白で悩ましい仕草が…
-
小説『仙一』【第4回】古川 晋次
以前からタバコ屋のおばさんが好きだった。ただ、それは肌を重ねたいだけの性的な対象であり、恋愛したい理想の女性のイメージは…
-
小説『仙一』【第3回】古川 晋次
使いっ走りを口実に、タバコ屋を営むタエさんに会いに行っていたが、彼女が気になっているのはハンサムな自分の後輩だと知り…
-
小説『仙一』【第2回】古川 晋次
ロシアの血をひく仙一。齢18にして家長となり、父の居ない家を取り仕切り、弟や妹に愛情を注いだ。
-
小説『仙一』【新連載】古川 晋次
家族と離れての辛い長い下働きで、先が見えない今の仙一だった。