【前回の記事を読む】いつも甘いものを食べている、塩分を摂りすぎている、タバコを吸う、運動しない…病気を起こす生活習慣。予防のためには…
6つの大切なこと その1「健康」
健康について② お口の健康
歯科治療のパラドックス:歯の治療を繰り返すと歯の寿命を縮める
顔は、栄養と酸素を取り入れる消化器と呼吸器の入り口であり、また、触る・嗅ぐ・見る・味わう・聞く、すなわち皮膚感覚とともに嗅覚・視覚・味覚・聴覚・平衡覚というすべての感覚器を備え、様々な情報を認識する場所です。
さらに、喜怒哀楽などの精神状態や紅潮した顔、顔色が悪いなどの健康状態が顔に表れ、特に人では高度な社会生活を営むために表情をコミュニケーションの手段としても利用しています。
このように、表情は三つの「Life」である生命、生活、人生と密接に関わっているのです。顔の表情は脳の最高中枢である大脳皮質が口やのどを含めた顔の領域の感覚刺激を受け、顔の筋肉運動に指令を出すことで生まれます。これらは全一般体性感覚・運動領域の3分の1を占めるほどで、顔を使うことは脳を活性化していると言えます。
両生類や爬虫類は歯が尖っていて噛み砕くことができず、また鼻の中と口の中を分離する口蓋が未発達のためエサを丸呑みしています。一方、われわれ哺乳類には赤ちゃんを乳で育てるという特徴があり、乳は頰っぺたと口によって口腔を密閉すると吸いやすいため口の周りには多くの筋があります(図5)。
人の口の周囲にある筋には、口唇をつくる筋肉である口輪筋、口唇を動かす多くの筋肉、頰っぺたをつくる筋肉である頰筋があり、哺乳類の進化の過程で獲得したものです。