【前回の記事を読む】オランダの植民地時代、日本軍の統治時代、独立への壮絶な戦いなどインドネシアの激動の歴史を経てきた「ホテルマジャパヒト」

第四章 スラバヤを楽しむ

スラバヤのディープスポット

市の中心部、グブン駅の近く、スラバヤ・プラザというショッピング・モールの隣の公園に潜水艦モニュメントがある。潜水艦はソ連製で、一九五二年に建造され、実際に使われていたという。

全長七十六メートル、全幅四・七メートル、排水トン数千三百四十トンという大きさであるが、中に入ると船室は狭くケーブルやパイプが張り巡らされ、あちこちにメーターがあり、圧迫感がある。

海中のこの狭い閉ざされた空間で、敵からの攻撃の脅威にさらされながら生活していたことを想像するだけで激しい閉塞感と恐怖感に襲われる。

この狭くて暗い潜水艦から外に出ると、明るい公園には、スピーカーから大きな音でロックがガンガン流れ、それに負けないくらいプールで遊ぶ子供たちの大きな声が聞こえてくる。しみじみと平和のありがたさを実感した。

スラバヤ動物園は公式サイトによると広大な敷地に二百三十種類、約二千二百頭の動物が飼育されている東南アジア最大級の動物園である。

インドネシアの生物区は東洋区とオーストラリア区、それらの混在した区域に分かれている。その結果、インドネシアには世界でも有数の多様な生物が生存している国である。

一歩、動物園に足を踏み入れると、鬱蒼と茂った熱帯樹林と淀んだ池がインドネシアのジャングルを連想させる。しばらく歩くと、鉄製の柵に囲まれた木や草むらのある広い敷地に体長二メートルもある世界最大のトカゲ、コモドオオトカゲが舌を出し入れしながら徘徊している。それも一匹や二匹ではなく何十匹もいる。

コモドオオトカゲはコモド島やリンチャ島などに生息しており、毒を持っていて、人間を襲い殺してしまうこともあるという。

その他、インドネシアだけに生息するバビルサ(豚鹿)というイノシシの仲間やインドネシア東部とオーストラリアに棲息する喉の肉垂が赤いヒクイドリなど日本では見ることのない、珍しい動物が飼育されていた。

土日は多くの家族連れや若い人たちで賑わっている。園内のあちこちにゴミ箱があるにもかかわらず通路や広場には大量のゴミやペットボトルが散乱し、音楽が大音量で流れている。