スラバヤ動物園は、ずさんな飼育管理、さらには来場者が動物に勝手に餌をやるといったモラルの低さから動物の死が相次ぎ、「死の動物園」と言われ、動物愛護団体から閉鎖を求められていた。最近は経営が市に移り、飼育状況は改善していると聞いている。

スラバヤで働き始めたころ、スラバヤで最高級のホテル、シャングリラの裏にドリーと呼ばれる、東南アジア最大の売春街があった。ある日、会社の帰り、運転手に立ち寄ってもらい車の中から眺めた。

スラバヤのどこにでもある屋台や雑貨屋のある汚くて暗い通りのところどころに明るい美容院やソファーに若い女性たちが座っている待合所らしき店舗がある。この通りを歩く男たちに交じって、子供の姿も見える。

ここでは麻薬の売買や親がわからずに産まれた子供たちの人身売買が行われているという話を聞いて、ふと、快楽のあとに襲われる激しい虚しさを想像した。二〇一四年、スラバヤの女性市長リスマ氏は、多くの反対運動を押し切り、この売春街を閉鎖、解体した。

二つの世界

私の住んでいたコンドミニアムの周辺には高級住宅街が広がっていた。一軒四千万円から数億円、中には十億円を超えるプール付きの豪邸もある。

インドネシアの多くの高級住宅街では住宅地の入り口に守衛事務所があり、ガードマンが常駐している。各邸宅のシャッターの奥には高級車が何台も並んでいる。彼らは決してベモという小型乗合自動車やバスに乗ることはない。

計画的に美しく造られたショッピング・モールとコンドミニアム、高級住宅街が建ち並ぶエリアから一歩出ると、昔からの雑然とした古い街並みが続いている。幅七メートルほどの表通りには歩道やセンターラインはなく、路肩には空のペットボトルやゴミが散らかっている。

その道路を車とバイクがほとんど途切れることなく行き交い、時折、ベモが客を探しながらゆっくり走り、一台に家族四人が乗っているバイクが通り過ぎる。

次回更新は3月25日(火)、8時の予定です。

 

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