必要なのは、何か途轍もなく大きな生命のゆりかごである宇宙理論からのアプローチと宇宙物理学からの考察だ。
直近の宇宙物理学の観測による発見、数学理論による進展はすさまじいものがある。もともと人間とは何か? 人生とは何か? という問題は形而上学イシューで哲学的アプローチであった。それを私は宇宙物理学アプローチから考察してみたい。
考えたいのは次の5項目である。
1 我々はいったい何者か?
2 生命とは何か? 人間とは何か?
3 人生100年時代の第2の人生で何をなすべきか? 何をするか?
4 人生100年時代の第2の人生でどのような技能を必要とするか?
5 人生100年時代の第2の人生の意味・意義について何が言えるか?
まずアルバート・アインシュタイン氏にご登場いただく。彼が1905年9月に著した著名な論文「特殊相対性理論」のなかにこれまた有名な方程式がある。E=MC2乗である。Eはエネルギー(energy)、Mは質量(mass)、Cは光速(celeritas)で速度は30万㎞/秒である。
彼が示した「E=MC2乗」。この式には「エネルギー」、「質量」,そして「光速」という三つの量が登場する。これらは物理学のなかでも、極めて基本的で、重要な量である。壁に向かって思い切り石を投げれば壁をへこませることもある。
窓に当たれば窓ガラスを割ってしまうかもしれない。投げた石には「エネルギー」が宿っているのだ。大きくて重い冷蔵庫を運ぶのは大変だが、小さくて軽い携帯電話を持ち運ぶのは何でもないだろう。冷蔵庫は携帯電話に比べて質量が大きいことを示している。
光は1秒間におよそ30万キロメートルもの距離を進む。「光速」は宇宙の最高速度なのだ。どんなに努力しようとも何物も光より早く進むことはできない。彼の手によってこれら三つの量が結び付き、E=MC2乗すなわち「質量に光速の2乗を掛けたものはエネルギーに等しい」という驚くべき真実が明らかになった。
質量とエネルギーの等価性は「宇宙に始まりがあるのならどうやって無から有が生じたのか?」というある意味哲学的な問題にも一つの解答を与えることになった。
宇宙の全ての重力のエネルギー(位置エネルギー)を合計するとマイナスになるため、宇宙に存在する物質の質量と合わせれば宇宙のエネルギーはゼロになるというのが、解答である。
あまりに意外な結論に当のアインシュタイン氏も初めは半信半疑だったようだ。しかし後年の講演では自信に満ちた口調でこう述べている。
E=MC2乗という式はごくわずかな質量が極めて大きな量のエネルギーに変換され得ること、あるいはその逆を示しています。この式によれば質量とエネルギーは実はどちらも同じものだったのです」
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