彼女は情けない声になった。骸骨の方は、「エヘヘ」と誤魔化し笑いをした。そうすると灌木の枝に引っかかった半身が揺れて、カサカサと乾いた音を立てた。少女がぷっと噴き出した。二人は顔を寄せると、「ふふふ、ハハハ」と笑い出した。何が可笑しいのか笑いはあとからあとからこみ上げてきた。彼らの笑い声が松林に木霊して、海風がそよそよと吹き寄せた。
「わたし杉野和美よ、十六歳の‥‥あ、昨日言ったわね」
「小生は骸骨、年令三十歳‥‥クライカナ?」
「えーっ、三十歳? オジさんじゃないの」
少女は吃驚したらしい。一瞬身を引いてまじまじと様子を窺ったが、それよりも別のことが気になったらしい。
「ガイ骨さんって本当に痩せているのね、吃驚しちゃった」
何だか小首を傾げている。骸骨は正体がバレやしないかと冷や冷やしていた。
「あ、それより‥‥くらいって何のこと、まさか知らないの?」
「ア、イヤ、ソノ‥‥」
「言いたくないの? そうよね、自分の歳知らないわけないか」
骸骨は何と応えていいのか困っていた。
「ふぅん、でも‥‥オジさんって感じでもないわよねぇ」
「ソ、ソウカナ?」
それには返事もせず、何だか狡そうに笑っている。