その結果、未熟児で産まれた赤ちゃんが自立するまでの長い年月、母親は赤ちゃんの側を離れることができなくなった。母親が離れると、赤ちゃんは自分だけで生き残るすべを持たないからである。

そこで、赤ちゃんと母親に食物などを運び、庇護する役割を担う人間が必要になった。それを父親が担うことになった。家族の誕生である。

人類は、家族を維持するために、父親である男性を長く家族のもとに引き付けるべく進化した。父親は赤ちゃんや母親の側にいると、やすらぎや愛しさを覚え、皆と一緒に過ごしたくなるようになった。

火を味方につけた人類が、焚火を囲んで生まれた団らんがそれを後押ししたであろうと想像できる。その他の工夫もある。

人間の生殖器はほかの霊長類に比べて非常に違っている。人間の女性の乳房は大きくて形がはっきりしている。そうでないと困る実用的な理由はない。類人猿などは乳首だけの胸元で授乳作業などを上手く行っている。

さらに、人間の臀部は丸みをおびて大きく発達している。体毛が退化して、つるりとした肌も魅力的である。いかなる文化のもとで育った男性でも、ウエストサイズがヒップサイズの七〇%になっている砂時計型の女性を魅力的だと思っていることが判明している。

ほかの霊長類は発情期だけ、自己のセックスアッピールをするのに比べて、人間の異性に対するアッピール期間には期限がない。これまでに述べた種々の工夫が、男性の父親を母親や赤ちゃんのもとに長く引き付け、家族で未熟な子供を育てていくことができるようになったのである。

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