四 波乱万丈の里山生活
その四 イノシシさんとの夜の攻防
柴犬さんは、イノシシさんと暮らすのでも良いと思っていたけれど、三毛猫さんが上手く一緒に暮らしているのが分かって安心して、お世話になることを決心したとか。
逆にイノシシさんの子供が寂しがっていたので、この辺りまで、いつでも遊びに来ていいよと伝えたとか。それを納得して、イノシシさんは去って行きました。そしてぎんちゃんと柴犬さんの初対面となりました。
カラスさんは、屋根のひさしの下にひっそりと隠れて見ていましたけど、ひとまず安心したようです。
その五 キツネさんの御成り
色々な生き物たちが集まると里山は騒がしくなり、それに引き付けられる生き物もいます。ぎんちゃんが待ち望んでいるのはキツネさんです。ぎんちゃんがカラスさんに聞きました。
「カラスさん、この山にはキツネさんはいるかね。夜行性の生き物だから、全く会うことはないのかもしれないけど、一度会って話したいことがあるんだよ」
カラスさんは不思議に思い聞き返します。
「何だい、聞きたいことっていうのは。勿体ぶらないで教えてよ」
ぎんちゃんは、夜中に森の中でキツネが人間を化かす、という人間が作った言い伝えがあることを話します。
「カラスさんも聞きたいかい。昔からキツネさんについては、色々な話があるんだ。人を夜に騙して悪さをするってね。闇夜の中を歩いていた人間が、女性に誘われたかのように騙されて連れていかれたとか。どんどん話が膨らんでいくんだよね」