生い立ち編 「勉強こそが人生を切り拓くと信じて」

2.自我の確立 (神とは何か? 小学校5年生の出来事)

私は親の方針通り勉強をしないので成績はクラスで最下位だ。学校では勉強がよくできる子供は皆から尊敬される。同級生には3名の秀才がいた。M君は灘中学へ進んだ。京都大学に進学したとの噂を聞いたことはあるが、残念ながら小学校卒業後会ったことがない。私も灘中学へ進みたいと本気で思ったが、クラスで最下位の子供が行けるはずもない。

T君は地域の中学校で2番とか3番(600人中)で生徒会長も務めた。Hさんは同じ中学校で3年間1番を通したすごい人だ。私は勉強のできない子供の仲間に入り、悪さもしていたので先生の覚えも悪い。いくら家の手伝いをしても同級生とか先生から尊敬されることはない。彼ら(3人の秀才)との学力差は広がるばかりだ。

以前述べたように校長先生からも、非難される始末だ。私が叱られているが、原因は家庭にあり、私は被害者だが相談する人は誰もいない。

母は私たち子供を教会に連れて行き小さなお社を拝んでいる。この中に神様がいると言うが、にわかには信じられないし、「神様とは何か」という疑問が湧いてきた。母親に聞いても、「神様は居られて我々を見守って下さっている」としか答えない。神とは何か? 神はいるのか? 自分は如何に生きるべきかと毎日毎日考えるようになった。

このまま進めば自分は意味のない人間になってしまう。半年以上思い悩んだ結果として、「自然界を支配するのは科学」→「神は科学ではないか?」→「神が科学ならば科学を学ばなければならない」→「研究者になりたい」

科学を学び神の力を得て研究者になりたいと思った。「理科とか算数は何としても学ばねばならない」と本気で考えるようになったのは5年生の後半の出来事だ。この時に私には強烈な自我が出来上がった。