この自我を頼りに私の人生を歩むことになる。親に話をしても相談にならないと思ったし、現在までこのことは誰とも相談をしたことはない。1人で決めて、1人で実行してきた。
私も81歳になり両親も亡くなり、三姉妹も亡くなり、家内も亡くなり、若い頃の強烈な思いを公開しても良いと思い、公開している。自我とは何か? 私は自我により、長い時間が掛かったが両親の育った時代とか両親の考えと決別し、新しい時代を生き抜くことになった。
この自我が小学校高学年、中学、高校、大学、結婚、就職、神戸天然物化学の設立、筑波大学博士課程に入学、さらにマザーズ(現グロース)上場等々の私の人生の大半にまで大きな影響を与えた。
もし、自我の確立がなければ自分はどうなっただろう。父ほどの苦労をすることもなく、父の敷いた商売の道に進んでいただろう。商売の道も一生懸命働くだけで生き残れるほど甘いものではない。商売も社会の変遷と共に大きな流通革命が起こっていた。
小売商→スーパーマーケット→コンビニ→ネット通販
この領域で生き残るには、時代の変遷に追従できる能力、柔軟性、独創性等が求められる。とても父の教育方針では乗り切れないだろう。この道に進んでいれば多くの商売人たちと同じように、廃業して寂しい余生を送ることになっただろうと思う。近隣の同業者は沢山いたが早い時期に廃業している。父の事業を継承した義兄、義弟も長らく頑張っていたが時代の流れに埋没し最後は廃業してしまった。