生い立ち編 「勉強こそが人生を切り拓くと信じて」

1.両親の時代

●幼少時の思い出

父から小学生の時には食用油(石油缶)を買ってこいと言われた。この時は湊川駅で不審者と間違われて神戸電鉄の駅長室に連れていかれたが、食用油なので放免された。

中学生になると、銀行へは行ったこともないが、いきなり数十万円の現金を下ろしてこいとか、国鉄の荷物取扱所から荷物を送ってこいとか言われた。

私にとっては全く未経験で無理難題を押し付けられた。教育なのか自分が面倒くさいので子供に言い付けたのか分からないが、私としては困った。勿論、指示は実行できた。

新しく始めた商売は繁盛したので儲かり、近隣の土地をどんどん買い、文化住宅を建てて賃貸不動産事業を拡大していった。

父はチラシを作り、私にあちらこちらの電信柱に宣伝の張り紙を貼らせる。張り紙禁止と書いてあるがお構いなしだ。父は臆病な性格だが社会公正とか道徳心には無頓着な面も多々あった。反面教師として尊敬はできなかった。

両親は仕事一本の人なので、親と遊びに行ったことは少ない。父のサラリーマン時代に会社からバス旅行に一度だけ連れていって貰った。父が旅行を取り仕切っていた。また、泳いでいる父を初めて見た。

父は船釣りが好きでベラ(キュウセン)釣りに何度か連れていって貰った。米屋時代には遊漁船を借り切りベラ釣りを楽しんでいたらしい。