もしそうだとしたら、彼女も気の毒にと思ったのかも知れないし、幼い頃の記憶は消えないものだからかも知れない。

幼少時代の記憶は野山を駆け巡り遊んだことと美しい山百合を見て感動したこととか、農作業の手伝いとか、感電により大変な目に遭ったことしか記憶にない。

この子は字が書けないとか勉強ができないと母は嘆いていたが、親の方針を守ったので勉強をした記憶が全くないし、小学5年生までの記憶が非常に少ない。

両親は子供時代に勉強をさせて貰えなかった時代を生き抜いてきた人たちであり、子供の教育の重要性を理解できていなかったのだろう。むしろ自分たちの生活を発展させるのに必死で、子供の力までも利用した。

幼少時代にどのような生活をしてきたかを思い出せない。通知簿は親のハンコを貰い先生に返さなければならないので、親に見せていた。

大半は「悪いと少し悪い」で普通がない。それでも親から叱られた記憶はない。両親は「私が全く勉強ができないと確信していた」が、それでも良いと思っていた。

勿論、教育思想は三姉妹にも同じように実行されたので、三姉妹も親の言う通り育ったので皆勉強をしないが、雄弁でたくましく育った。しかし、私の中では両親の言う通りの人生を送っても良いのか、疑問が大きくなっていった。

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