ここで海岸線のルートを一部逃したのみで、他はすべて順調に海岸沿いに道が走っています。よく見かける半島でのルートは、内陸から縦に、縦にと海岸まで下りまた戻ってそれを繰り返すことになりがちですが、それをしなくて済みます。
こうしてとにもかくにも、くねくね曲がったり折れたりしながら、半島の海岸伝いに走ると金沢から高岡までの能登半島まるごと一周約600キロ、いやそれ以上になるでしょうか。
道路事情は極めて良かったです。昔の人はこれを歩くとなると金沢や富山に出るだけで天と地の境界を移動した感じがしただろうと思うと恐れ多いことです。
映画での「点と線」や「砂の器」など松本清張の世界ではありませんが、貧しかった時代を髣髴 (ほうふつ)とさせる東北、山陰、能登の風土。
単に風光明媚な観光地的感覚でものを見るだけでなく、交通不便で閉鎖され、困難な土地の条件の中に生きてきた人たちの一時代前を忘れてはならないと思います。一歩自分の住む地を離れれば、それは異国でもありました。現代社会では都府県や地区の境界は写真が表示しているくらいにしか意識しなくなっています。
能登に原子力発電があることはよく分かっていませんでした。「志賀」原発です。
内灘方面から入ると「志賀」の町は急に活気を帯びてきます。なるほどリゾート地の開発も進み、町のスーパー銭湯も賑わっています。お一人様450円なり。安い。やはりご多分にもれず原電による地域振興策の結果なのか。まわりの地域と違って潤っているなという感じでもあります。
その原電は海岸線より国道を挟んで数百メートル離れた少し高台にあります。
津波の影響は避けられそうですが、もし巨大地震ならいろんな想定外のことが起きる可能性は否定できません。外目にはスッキリした建物で、煙も出さずクリーンといえますが。