旅物語――旅に学ぶ (国内編)

能登の旅路

ローカリティとは

街全体も祭りの屋台の展示や漆器店でシックに作り上げていますが、通りすがりの観光客にはなじみません。もちろん輪島漆器は伝統ですが、いつも漆器ばかり買い求める客ばかりではありません。

この伝統商標だけでは普段の客の動きはあまりありません。特に街の中心部の活性化を図りたいものです。それを輪島朝市が担っているのかもしれませんが、朝市を利用できない客は手持ち無沙汰になるばかりです。

同じく珠州市にある「すずの湯」の入浴料金、1200円(高い。何とかならないかな)。回数券の人は割引となり、地元利用促進らしいが、たまには街の外からも客は来るでしょうし、こんなところで料金を高めてもそんなに儲からないのでしょう。

いたるところの店でフィリピンやインドネシアからの移住民が働いておられました。日本人は都会で働き、人手不足。結婚して7~8年になるという中華ソバ屋の奥さん、ホテルのウエイトレス、皆さん頑張っています。頼もしく思えました。こんなところで小さな国際化です。

こうして世代を跨ぎまた街も変わっていきます。もし古い封建的すぎる村の習慣が地区の閉塞感をもたらしているとすれば、この脱却には一番の環境づくりとなるでしょう。

外国の人たちを積極的に受け入れていけばよいと思います。最後に地名から地方色を探ってみます。

志賀と書いて「しか」と発音。「志賀」と書けばどうしても「滋賀」が連想されます。そして通常は“しか”と読めません。

もう一つは「富来」と書いて「とぎ」。どうしても「とみく」と読みたくなります。「とぎ」という発音から、この「富来」という漢字は浮かばずかなり混乱しました。

しかしもう大丈夫、今ははっきり読めます。能登の地を踏んでおかげさまでしっかり覚えました。

記忘庵日誌 2011・5・1

 

追記

能登と佐渡は2011年6月になって世界農業遺産に登録されました。能登は美しい棚田や「あえのこと」といった伝統行事が続いていることなどが指定の理由です。
2012・11・07追記

 

白米千枚田は実際に1004枚の棚田があるそうです。2011年から冬場の観光客の増加をねらって1万2000個のイルミネーションで棚田を飾る「あぜのきらめき」を始めました。

その結果、冬場は3倍に観光客が増えたといいます。さらに今年に入って小型ソーラー付きのLEDを2万個に増やしました。11月10日~2月17日、千枚田のあぜ道をピンクの光が美しく縁取ることになります。

(週刊現代 11・17-絶景日本遺産)