私がパン係⁉ 

中学入学直後、クラスで最初に行われたのは学級委員などの役を決めることでした。父と同級だった先生は、あだ名が“直江っちゃ”といって背が高くイガグリ頭の先生でした。父の話では旧姓が“直江”といい、直江津の大きなお寺の息子さんだったそうです。

“直江っちゃ”は小学校からの引き継ぎがあったのか、学級委員長から順番に、副委員長、風紀委員、学習委員と手際よく決めていきました。最後に、「まだ、名前呼ばれてない者いるかね?」と、言うので私が手を挙げると、先生が言いました。

「おお、斎京か……。斎京は……パン係やるか?」

「パン係?」

「朝、パンの注文とって、お昼に配るんだ」

「はあ……」

和島村ではみんなに大事にされていたのに、直江津に来たら誰一人知り合いもなく、パン係! 情けないような悔しいような気分でした。

友達もいなかった私は、学校が終わると直江津駅から電車に乗って真っすぐ名立に帰り、仕方がないので勉強ばかりしていました。それが功を奏したのか、一学期の中間テストの成績がとてもよかったのです。

と言っても、はっきりした順位は私も分からなかったのですが、「どこからか来た、すごく小さい女の子が、いい成績をとったらしい……」という噂が他のクラスに流れたようでした。

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