第三章 おがさわら体験

一 「躑躅(つつじ)山」と「千尋(ちひろ)岩」

そして、これから歩いていく衝立山方面のルートを視認して、「これから、かなりのアルバイトになりますよ!」と、戸田さんを脅かすのでした。

確かに、幾度来歩いて来ているのですが、正直、これからまた歩くのかと思うとうんざりですが、全ては調査と健康のため、自分を鼓舞することとします。

行く方向を眺めると、母島が綺麗に海面上の薄雲の下にかすんで観えています。本日は、今のところ絶好の山歩き日和となって、躑躅山への登りも急登ですが、草付きで軽快に距離を稼いでいきます。本当に気持ち良い天候となっています。

十時十分、「躑躅山」といわれる頂上に到着です。説が色々あって、ピークが岩峰なのか何処か定かではないようです。眼下に水を湛える「時雨ダム」が観えます。

ここには、ツツジの移植作業で岩峰の直下に調査で幾度か来たこともあり、斜面の裸地が懐かしく感じられます。

遠くには、大村の集落が朝陽を浴びて光り輝いています。野羊山の頂から観た大村集落も綺麗ですが、ここから観る情景も勝るとも劣らないものとなっています。また、ダムの上を風に乗って羽ばたきせずオガサワラノスリが快適に飛んでいます。本当にのどかな風景で、ゆっくりと時間が流れていきます。

一部白い浜が「中海岸」
飛行場予定地であった父島東南部