事例(4)細かすぎるルールのために、使われない

業務に精通している人、確固たる自信を持っている人によくあるパターン。

自分自身も、熱交換器のはんだ付け、ろう付などの製造基準を作成した時に作成したものがやたらに細かいものになってしまい、自分だけで満足していたことがあった。また、将来の改良、進化ができる人財を育成して、指名しておかないと途切れてしまう。

細かすぎるルールやマニュアルは、使う側にとっても現実に合わせた応用範囲の少なさのために、融通が利かなかったり、知らないうちに「行動する人」が自ら考えて判断、行動する機会を奪ってしまうことにもなっている。

優秀な部下が作ってくれた「細かすぎるマニュアル」に対して、お礼と評価をしつつも、使われる状況を想像させたアドバイスが必要となる。ここが上司の腕の見せどころ。

また、異なった世代間のコミュニケーション不足にもブレーキとなってしまう。

新人類、ゆとり世代、Z世代……とか言って世代間のコミュニケーションがうまくできない口実にしてきた反省もあり、「受ける側」が理解できる内容、レベルを「伝える側」が調節することが原則であるべき、ということを「今」になって再認識している。

〈J2京都の池上正・前普及部長が監修した『サッカーで子どもの力を引き出す池上さんのことば辞典』の中に、『わかった?』と『質問ありますか?』または、『わからないところは、どこ?』の対比。

何か大事なことを伝えた後、きちんと理解されたかを確認するために問いかける言葉」として説明されている。子どもに何かを伝えた後、ふつうは「『わかった?』と念押ししてしまう。

そう尋ねられても『わかりません』と返せる子どもは、なかなかいない。ほとんどの場合、黙ってうなずく。大人でもそうだろう。

『わかった?』は『わからないなんてことはありませんよね』という高圧的な言葉として耳に届く。池上さんは、『わかった?』は言わないで、『わからないところはどこかな?』と聞かれる。

『ちゃんとわかった?』と念を押すのではなく、理解できない部分を尋ねる。その問いはコーチが話したことを頭の中でもう一度、確認し、かみくだく作業を促すだろう。

問題は、大人と子どもが対等な関係を結んでいるかどうかだと池上さんは説いておられる。職場でも同じ〉

コラム 体に染み込んでいる「単位」は?

配管部材ではメートル、インチだけでなく、向け先によって「25A、1インチ、1B、3/4= 6分、ポンド(lb)」もあります。また、「圧力」単位については、仕事の中で度々ギャップを感じている1つです。

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