第3章 基礎段階
2 まず「問題点を見つけやすくする」行動をしよう
まずは、現場での工夫について昔から上司、先輩から言われてきたことの意味を考えてみると、それぞれの指針、方法の根拠が「問題点を見つけやすくすること」に結び付いてくる。
このように与えられた方法だけではなく自分で自職場に合ったやり方を考え、試してみて問題点の見え方、またその見え方の変化を味わい、体感してもらうことが有効と思う。
どんな方法、手段を使うのかは、工場管理者、監督者の自由裁量であり、問題点の見え方や、部下の参画状況を見ながら変えていくことが、腕の見せどころ。
出力が思うように上がらない、生産性が伸びない、工程内不良が減らない、手直しが慢性的……等の壁にぶち当たった時には、方法による効果の良し悪しを気にせずに「まずは、思い付いたことを試してみる」の姿勢で動き始めることが大切。
一時期はうまく機能したが長続きはしなかった、という経験がたくさんある。これは失敗でもあるが、その理由を考え次への変更を思い切ってやることが、上司からの評価、他部署の批判を気にするよりも大切だと思う。
また、隠さずに周りの関係者に発信していくことで、他部署の人達が「疑似体験」をして、自職場にとってよりミートする方法を考える機会作りになるはず。
次に、具体的な事例を失敗作も含めて披露するので、狙っている「心」を想像してもらって、自分なら「こうしよう」「別のやり方を思い付いた」……どんどん進めていただきたいと思う。
事例(1)「落とした部品」からの発見!
カーエアコンの組付けラインでの事例。
前工程のヒータコアの一貫生産ライン、エアコンケースの樹脂成形工程、及び購入部品の投入を受けた、長さ約20mのベルトコンベヤラインに10数名の作業員が配置され、 20~30秒程度のサイクルタイムで組み立て、調整、検査、箱詰め梱包をしている。
先頭は、射出成形された上下分割のケースを合体し、内蔵物であるヒータコア、エバポレータといった熱交換器、エアコン内の風を制御するドア、その駆動機構の組付け……と続き、駆動確認、配管部分も含めた気密検査、及び外観検査を経て通い箱への梱包までの工程。
作業は、主にベルトコンベヤ上を製品が移動するので、その場で組んだり取り置きして後工程に送っている。
この組付けライン用のベルトコンベヤの終端には標準的にベルトがターンする部分の下方に「ゴミ受けトレー」がある。日々の作業場周辺の清掃とは別に、月単位程度で溜まったゴミの回収をやっていた。