第2章 改善活動は、まずベース固めをすることが重要

5 基本的なルールを作る、決めたルールを守り切る

事例(2)敢えて教えない「排他的グループ」

わかりやすい例は、東京豊洲市場の工事で問題となった「盛り土(もりど)」。国語の音訓読みとしての正しさよりも、そのことを関係者に誤解なく正しく伝える方法として定着していると思われた。「目途(もくと)」も似たようにも感ずる。

配管業界での配管材の肉厚を表す「sch10 (すけとー)」も、使いこなしているかどうかで一人前の物差しにもされていると感じるところがある。緊急時などの時、使えない人はメンバーから外される場合もある。

世代の離れた仕事仲間との共同作業の中では、お互いに相手が「体に染み込んでいる単位」を確認し合うことでつまらないトラブルや、辛い状況を防止できると思う。

事例(3)「属人的」であると思って、明文化をサボっていないだろうか?

技能伝承の難しさの中でよく出てくるパターン。

特殊な作業を対象に「勘・コツ」「色の変化、臭い・音の変化を感じた判断基準」など、形式知化、定量化などが難しい事例があるものの、安易に長い間やってきている主担当者に「おんぶにだっこ」で頼り切ってきている場合がある。

日々が「その日暮らし」的となっている会社、工場の場合は「伝承」になかなか手が付けられていないことが多い。このリスクは、前述の技能伝承の場合に、図2のように実感した次第。

すなわち、技能は「人間」に宿っているもので、主(ぬし)である人間が死んだら同時にその技能もなくなってしまう。

だから、その技能、ノウハウを保持している人が生きている間に、文字やデータとしてまとめ、手順書や標準作業書にして残し、伝承の道具とする。最近では動画情報として残すことも容易になってきている。

それぞれの職場にあった方法で明文化、形式知化を行っていく必要がある。この活動は、同時に従来「技能」としてきたものを「技術」という財産に置き換えることができたこととなる。