第1章 自然・地理
国土が地下から湧き上がり東西に広がり「2大陸をまたぐ橋」がある国
既述の通り、アイスランドは海底の山脈である大西洋中央海嶺の一部が海面上に露出して出来た島という珍しい場所にある。
もう少し詳しく説明すると、大西洋の中央部には「大西洋中央海嶺」という海底山脈が南北に何千kmも連なっているが、その山脈は地球の深部からマントル(固体)が上昇し、マグマ(液体)が左右に湧き出ることによって作られる。
そして左右に新たに作られた平地が「プレート」と呼ばれ、西側(左側)に北米プレートが、そして東側(右側)にユーラシア・プレートが、それぞれ年間数cmの速度で左右に移動し、結果的に国土を拡大させている(図2)。
実際、国土地理局は全国250ヶ所に観測ポイントを設け、その動きをGPSでモニターしているが、数年前に発表された観測結果では、ユーラシア・プレートと北米プレートがそれぞれ東西に移動することによる新たな陸地の形成は、年間数cm程度とのことである。
この大地の裂け目ともいうべき中央海嶺の地上部分は、アイスランド島を南西方向から北東方向に貫いており、南西部のレイキャネス半島や、レイキャビクから北東へ約40kmの位置にあるシンクヴェトリル国立公園(世界遺産)等で、溶岩で出来た切り立った断崖とその間の溶岩台地といった形で、実際に目にすることが出来る(巻頭カラー写真参照)。
特に、前者では、北米プレートとユーラシア・プレートがまさに両側に広がっていく裂け目の部分に「2大陸をまたぐ橋」(写真2)がかかっており、以前はこの橋を渡ると「2大陸横断証明書」なるものを発行して貰えたそうだ。