それも、高一、中二と思春期(ししゅんき)真只中 (まっただなか)。そうはいっても現実 (げんじつ)は働いて家族四人が生活をしていかなければならない、親がこうして毎日僅(わず)かな睡眠 (すいみん)時間で頑張って働いているからこそ、こうして四人の生活が保(たも)てるのだ、と心の中で愚(おろ)かな言い訳を繰(く)り返(かえ)していた。

私達が時々する昔話 (むかしばなし)の中にはこの辺りの場面はほとんど出てこない。昔話(むかしばなし)がこの辺りに及ぶとお互い自然と無言(むごん)になる。もう三十年も前のことだが、私達夫婦にとってこの場面に時効(じこう)はない。

店を始めて五年は経過(けいか)していただろうか、ド素人(しろうと)が始めた商売は奇妙 (きみょう) なほど賑(にぎ)わい、お金には困らなくなったが、私はいつの間にか子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)という病気になっていた。

悪いことに日に日に症状は悪化(あっか)し、遂(つい)に手術を受けざるを得(え)ない状況になり、手術日が決まった。

しかし私は子宮筋腫はそれ程大騒 (おおさわ)ぎをするほどの病気ではないと思っていたので、子供達には子宮筋腫の手術 (しゅじゅつ)をすることは伏(ふ)せ、二~三日間の検査入院(けんさにゅういん)をするとだけ伝えた。

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