代表的なのは、南東部にある「ヴァトナヨークトル氷河Vatnajökull」(写真1)だろう。この氷河は8100km²の広さがあり、体積ではヨーロッパ最大、面積では2番目に大きい氷河で、日本でいえば静岡県を上回る広さだ。因みに、ヨークトル(jökull)はアイスランド語で氷河の意味。
その他にも、アイスランド語で「長い氷河」を意味するラングヨークトル氷河、ハイランドと呼ばれる中央部の高原地帯にあるホフスヨークトル氷河、ミルダルスヨークトル氷河、等々、数え上げればきりがない。
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温暖化の影響、失われた氷河の追悼式
予て温暖化の影響で国内各地の氷河の融解・後退が懸念されていたが、ついに2014年、気象庁はオクヨークトル氷河(Okjökull)を「もはや氷河と言えない」と宣言し、国内で初めて氷河という肩書きを失った氷河となった。
この氷河は過去には16km²の大地を覆っていたが、2014年時点では1km²にも満たない氷の塊となってしまったのだ。
そして、2019年8月には、このオクヨークトル氷河を追悼する式典が現地で開催され、カトリン・ヤコブスドッティル首相以下、政府関係者や大学の研究者・科学者等、100名前後の関係者が参加した(2)。
この追悼式典では、氷河があった場所に銘板を設置、そこには次の様な「未来への手紙」が刻まれていた。なかなか意味深長なメッセージである。
未来への手紙(注:筆者による仮訳)
オクヨークトルは、アイスランドで初めて氷河という肩書きを失った氷河です。今後200年間で、この国の全ての氷河が同じ道を辿ると考えられています。
このモニュメントは、私達が、今何が起きていて、今何をすべきなのかを知っているということを認めるものです。私達がなすべきことをしたかどうかは、未来のあなた方にしか知りえませんが。
2019年8月
【 参考文献 】
(1) “How did Iceland get its name?” by Iceland Review, April 20 , 2013
(2) “Scientists memorialize the rst glacier lost to climate change in Iceland” by CNN, July 22 ,2019
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