第1章 自然・地理
アイスランドは「氷の国」ではなく「火と氷の国」
アイスランドの国名(英語Republic of Iceland、氷語 Ísland )をそのまま日本語に訳すと「氷の国」になる。
由来については諸説あるものの、9世紀後半に入植したノルウェー人ヴァイキングが、山の上の氷河を見てノルウェー語の「イス=氷」と「ラント=国」の合成語「イスラント(Ísland)」と命名し、それを後世の人々が英語読みしてアイスランドになったという説が有力だ(1)。
国名はともかく、現在ではアイスランドは「火と氷の国」(e Land of Fire and Ice)とよく言われる。その理由は多くの火山と氷河が共存しているからなのだが、そこにはこの国の位置や生い立ちが大きく関係している。
位置的には、北緯63~66度、西経13~24度の北大西洋上に浮かぶ島国であり、北には北極、西はグリーンランド、東はスカンジナビア半島、南東には英国を望む場所にある(図1)。
そして地質学的には、西側の北米プレートと、東側のユーラシア・プレートの境界にある大西洋中央海嶺の一部が、火山活動や地殻変動により海面上に露出して出来た島という珍しい場所。
つまり、この国の地下深くから上昇したマグマが地表に湧き出し、その後は東西に分かれて移動する2つのプレートを生み出す為、その周辺では常に摩擦が生じ、地震や火山活動を生み出すことになる。これが「火の国」(Land of Fire)の正体だ。