それでもまだ高いと拒んでいると、「四〇〇〇、三〇〇〇……」と下がっていく。そこで、「二五〇〇ルピーで買う!」と力強く言い切ってみたが、さすがに彼もすぐには値切りに乗らない。長い交渉の末、ついに二六〇〇ルピーで落札。

「ユー・アー・ラッキーガール」と言いながら、しぶしぶとサーランギーを渡してくれた。

ホテルに帰り、友人に事の顛末を話すと、「ああ、その人はまた木を切って、削って、一から作らないと商売できないよ。本当に罪作りなんだから」と言いながら、「でも、よくぞがんばって手に入れた。偉い!」とねぎらってくれた。

確かに可哀想なことをしたかもしれない。二六〇〇ルピーは値切り過ぎたと反省したが、彼との三〇分近くにわたるやり取りは楽しく、しかも売り物ではないものを手に入れた喜びでいっぱい。納得のいく買い物になった。

これって本当に聖地?

午後は、世界有数のチベット仏教の中心地ボダナートへ行くことにした。ネパール最大のストゥーパを有する聖地だ。カトマンズの中心地から東へ六キロのところにある。

長い道のりを歩いた上に、さらに修行のような階段があったスワヤンブナートのことを思い出し、迷わずタクシーを利用する。ホテルからタクシーで約二〇分、一〇〇ルピーで話を付けてから乗り込む。私たちも、かなり旅慣れてきた。

聖地というくらいだから、どんな神聖な雰囲気なのだろうと期待は高まる。

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