第二章 聖地の風に吹かれて

バターランプの灯

プジャという礼拝に込める真摯な思いが音となって私の心と体に伝わる。求めてきた音楽とはこういうものだったのか。初めて体験する音の世界だ。ときおり目をつむりながら、夢見心地で聴いた。

プジャが終わると、すっかり夜。ストゥーパの周りには、数え切れないほどのバターランプが飾られている。おぼろげな月の下、揺れるランプの灯を見ていた。幻想的な光景に、時を忘れてうっとりしてしまう。

「ムナ君、いい子だったね。一〇年もすれば、きっと素敵な青年になるよ」友人がぽつりと言った。

コラム

友人が部屋で育てていたポトス。見る度にすくすく伸び、驚くほどの成長ぶりだった。友人は動物を飼ったり、植物を育てたりするのが得意だ。ポトスは光沢のある葉が印象的で、日光や水があまりなくてもどんどん育つイメージだが、調べてみるとさらにいろいろなことがわかった。

和名はオウゴンカズラ(黄金葛)。黄色の斑を持つ光沢のある葉のことを黄金と表し、その名が付いたという。また、繁殖する力が旺盛で緑を絶やさないことから、「華やかな明るさ」「永遠の富」という花言葉を持つ。

その生命力の強さは、やる気を上げる効果をもたらし、長いつるは人とのつながりをよくするといわれている。さらに、ハート型の葉の形から、恋愛運が上がるという説もあるのだとか。また、ポトスの花は一〇年に一度咲くか咲かないかといわれ、専門家でもなかなか見ることができない大変珍しいものだそうだ。確かに私も今まで見たことがない。