一方、友人がボダナートで購入したタルチョは、チベットやネパール、北インド地方などで見られる五色の祈祷旗。
仏法や願い事が世界に広がるとされ、チベット族の人々は、家の屋根、寺院の屋根、山頂や峠、橋や水辺などに、魔除けと祈りのために掲げる。タルチョには経文が書かれており、風にはためくと、お経を読むのと同じ功徳があるという。マニ車と同じ考え方である。文字が読めなくても、誰でも簡単に功徳を得られる計らいに、チベット仏教の懐の深さを感じる。
タルチョの色にはそれぞれ意味があり、宇宙を構成する五つを表している。
青……天や空
白……風
赤……火
緑……水
黄……大地や土
タルチョには経文の他に、馬や守り神が描かれているものもあるという。馬は速い風を意味し、祈りや願いを素早く届けて思いを成就させる。日本で願い事を書く絵馬も、同じような意味があるのではないかとひらめく。
また、四神と呼ばれる中国古来の守り神である青龍・白虎・朱雀・玄武、さらには麒麟も描かれることがあると知る。日本でも、古墳時代の壁画に四神が描かれていたり、戦国時代の武将たちが麒麟を平和の象徴にしていたりする。
これはまさに、シルクロードによって共通の文化が伝わり広がっていったことを物語っている。太古から人は、見えない祈りや願いを見えるものに託してきたのだ。
要するに、ポトスとタルチョがいっしょにあると、金運や人とのつながり、恋愛運などが上がることになる。実際、ポトスのあった部屋にタルチョを飾った友人は、その数年後に結婚し、二人の子どもを授かることになった。
きっと窓から入る風が、タルチョをはためかせていたに違いない。