「よく来たね。さあ、お入り。あの猫はお前達には何もしないよ。さあて、お前の仲間達はどうしている? 大丈夫だったかい。わしの孫娘も山賊達にどこかに連れ去られたらしい。あの夜盗どもが隣国に売り飛ばそうとするに違いない。そうする前に助け出さねばならない」
お婆は続けた。
「でもお婆一人では到底無理だ。村の生き残った男どもにも、それができる者はいないだろう…」
ユージンがお婆の言葉をさえぎって言った。
「お婆、僕とトムが皆を必ず救ってみせる」
「……」
お婆は黙って何も言わずユージンと背中の剣をしげしげと見つめた。
「おまえの名前はなんという?」
お婆が聞いた。
「ユージンだ」
「それはおまえの剣か?」
お婆が訪ねた。
「そうだ」
「どこでその剣を手に入れた?」
剣を見ながらお婆が聞いた。
ユージンが黙っていると、お婆がさらに聞いた。
【前回の記事を読む】森の中をしばらく歩いていくと、間違いなく複数の何者かがずうっと後をつけているようで…