具体的な取り組み事例が何とも興味深い。

例えば「台湾一周のバイク旅(不老騎士ふろうきし)」

「バイクで台湾を一周したかった」という、老人ケア施設を利用する一人の男性の声(夢)をスタッフが形にしたもの。

「若かったらできたのに」という考え方が老いにつながるのではという発想から、高齢者のためのバイクツアーを企画。大きな反響を呼んだとのこと。

こうした動きは今日では野球、演劇、サーフィンなど他の多くのジャンルにも広がっているそうである。

その他にも、子どもが巣立って時間を持て余しているシニアが台湾の家庭料理の腕前を披露するレストランがあったり、デイサービスに通う高齢者の得意分野を生かしたワークショップを企画し、シニアを講師として招く取り組みがあったり。

また認知症患者と家族・介護者が一緒にお菓子作りをする中からコミュニケーションを深め、最終的に当事者のためのお菓子作りキットの商品開発につながったりするなど多くの取り組みや、いろいろな分野での先進事例をみることができる。

台湾の高齢者対応は非常にポジティブである。創意工夫に満ち溢れている。家族、地域、社会が、当事者に寄り添った形での取り組みがなされている。

一方、日本ではどうだろうか。「一億総活躍社会」と心躍るようなスローガンはあっても、それが本当に高齢者にとってのQOL(生活の質)向上につながっているとは現段階では思えない。