お勧めの店というだけあって一品ごとに目でも楽しめ、しかも、どれも満足する味であった。最後は、グリンピースのご飯。塩味がほのかに効いていて、お漬物と一緒に食べるとあっという間の一膳だった。
健一はお代わりしている。デザートはコーヒーゼリーにアイスクリームを添えたもの。献立に肉や魚は少ししか入っていないにもかかわらず、おなかがいっぱいになった。
「わー満腹ね。見た目はおなかにたまらない感じだったけど」
「ここの料理はおなかにもたれないのが良いんだよ。今満腹で、夕食はとても食べられないと思っているだろうけれど、夕飯時にはおなかが減っていると思うよ」
「それにしてもいいロケーションね。私もこの店をお友達に紹介するわ。きっと喜んでもらえると思うの」
美紀は友達の顔を思い浮かべながら、誰と来ようかなと考えていた。
「では、行こうか」
「そうね」
二人は、甲州街道を新宿駅に向かって歩き出した。
「ねえ、明日から出張なのよね。来週が待ち遠しいわ」
「来週は大丈夫だと思うよ。まあ、会社の仕事次第だから、確約はできないがね」
「私一週間休んで、主婦業の真似事してみようかしら。それとも、いつも通り仕事に行って、共働きの主婦体験をしたほうがいいか、今思案中よ」
「まあ、実際に結婚する場合は、君は仕事を続けるのだから共働きバージョンがいいと思うね」
気がついたらもう新宿駅だ。健一は明日の出張の準備があるので、今日はここで別れることになる。
「今日はありがとう。楽しかったよ。出張から帰ったら電話するよ」
「分かったわ。気をつけて行ってらっしゃい」
「ありがとう、君も仕事しすぎないようにね」
美紀は健一と駅で別れ、自宅へと向かった。午前中に預かってもらっているシールを受け取って、今日中に貼ってみようと考えていた。それにしても、いろんな新しいものができているものである。
ラウンドカフェで講座に参加しなかったら全く気がつかなかったことだ。これからは仕事だけでなくいろんな機会をとらえて、新たな情報を得ることが必要だと思っていた。
最寄りの駅に着くと、いつも通りアーケード街を歩き始めた。小さいながらもいろんな商店が並んでいて、あちこち見ながら帰るのは結構楽しいものである。
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