【前回の記事を読む】豪邸に住む友達の誕生日会。プレゼントに迷った末に地球儀を用意したが、その友達の家に着くと…

地球儀

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十時過ぎまで続いた麻雀は、杉野と恭平の圧勝に終わり、上原と山田は不機嫌に金を置いて帰って行った。二人はその金で、遅い贅沢な夜食を共にした。

「あの白は、イカサマじゃろう」

「いや、儂はイカサマはせん。イカサマは絶対にせんが、よう間違える」

「間違える!? わざと間違えるのか。モノは言いようじゃの」

「いや、モノは考えようじゃ。振り込んだ山田にとっては、好い教訓になり、上がった恭平には、甘い誘惑になるかもしれん」

「教訓と誘惑。どっちに転ぶか、答えを出すのは本人次第って訳か。まあ、取り敢えずは美味いモンが食えて、良かった、良かった」

杉野の手助けにより、初っ端から親のダブル役満をモノにした恭平は、杉野の予言通り麻雀に夢中になるだろうと予感した。そして、この予感は見事に的中した。

絆創膏

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新宿紀伊國屋のエスカレーターの横に立ち、恭平は横断歩道の信号と腕時計とを交互に見ては深呼吸を繰り返していた。

普段は気にも留めない鈴屋の鐘が鳴るたびに、恭平の気持ちは後退りしていく。

まだ、約束の時間には間があるが、恭平は不安だった。

果たして、来てくれるだろうか。来てくれたら何処に行き、何を話せばいいのだろう。

そして、次に会う約束ができるだろうか。

池田淳子(じゅんこ)とのデートは、今日が初めてだった。

――二週間前。

国立競技場にサッカー日本リーグ東洋工業対三菱重工の試合を観に行った恭平は、鯉城高校サッカー部の一年後輩である関沢と偶然に出会った。

独りきりの恭平に対し、関沢は三人の女性を連れていた。石原智子、亀崎理佳、池田淳子と紹介された三人は、広島女学園の同級生で、それぞれ東京の違う大学に通っていた。

中学生の頃から恭平は、広島女学園に対し敵意に近い感情を持っていた。

家柄、財力、知性、容姿などの自分が欲しても得られない全てを、何の苦労もなく当然の如く保有する人間に対し、恭平は軽い敵意を抱く。劣等感と言い換えることもできるこの感情は、男性に対する以上に女性に強い。

そして、女性に対し一度感じた劣等感を覆す術を、恭平は知らない。

しかし、試合観戦後、三人の女性と別れた恭平は、関沢に対し池田淳子を紹介するよう命令口調で懇願した。三人の中で唯一、池田淳子には恭平が敵意を抱く広島女学園特有の空気が感じられなかった。