水泳から全く頭の中を切り離してリフレッシュする時間を持つことの重要性についても学んだ。無駄なエネルギーと時間の使い方をしなくなった。
食事の指導もあった。筋肉を養う食品、骨を育てる食品、基礎代謝を上げる食品などの教育も受けた。
限られた食事量、限られたカロリーの中で、どの時間帯にはどういう栄養素をどういった組み立てで食べれば、栄養の利用率が上がり、効果が高くなるかについて学び、次第に納得していった。好き嫌いがあった自分を反省した。
指導を受けたことを、自分の頭でもう一度考え、知識を消化し、自分の血肉としていくことも学んだ。夏休み期間中、ずっとトレーニングセンターに詰めていた。タイムはぐっと伸びた。意識も変わった。
年上の人たちの泳ぎを見たが、とんでもなく早くて、比較にならなかった。やる気に火がついた。両親の元を離れる決心をした。ナショナルトレーニングセンター近くの中学に転校をした。
「私はもう大人。子供じゃない。早く親元を離れたい。立派に一人でやっていける」
そう言い続けていたが、いざ転校をして、一人になると、「お母さん、お母さん」と、毎日泣き、母に電話をしていた。
母の声を聞くと、なぜか「大丈夫。元気。寂しくなんかないよ」と答えていた。中学生は、センターに泊まり込みで、朝から晩まで水泳ばかりをするというわけにはいかなかった。
それでも、タイムはぐんぐんと縮まり、ジュニアの世界大会の常連になるのに時間はかからなかった。
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