愛莉が水泳の強化選手になってからは、殆ど直接会うことができない二人だったが、電話やメールで、子供の頃のままの関係が続いている。麗央がF3の資格を取り、レーサーになると言いだしても、誰も驚かなかった。乱暴な言い方をすれば、F3は野球でいうなら三軍、一番裾野に当たる。F1に出るには今からいくつもの試験があり、腕を磨かなければならない。そしてやっと一年余り前にF1の資格を取り、イタリアのチームに所属す…
[連載]シュバルツ・ヴァルト
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【第6回】萬野 行子
兄の事故死の謎。他のレーサーに比べて年若く、童顔で明るい性格の兄は、レースの外でも仲間やライバルたちに人気だった。
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【第5回】萬野 行子
高いところから転がり落ちて、病院に担ぎ込まれた兄。「念のため、今晩一晩泊まっていって下さい」と話した医師は…
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【第4回】萬野 行子
トップアスリートへ近づくにつれて生活は不自由に… 食事、サプリメント、ドーピング、競争が生み出す緻密な管理体制
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【第3回】萬野 行子
育成選手となり親元を離れ転校してトレーニングセンターへ通う日々
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【第2回】萬野 行子
水泳で男の子に負けて大泣きした幼稚園時代。アイスノンを目に当てて冷やしてくれた兄
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小説『シュバルツ・ヴァルト』【新連載】萬野 行子
最終カーブでアウトからイン。一位を抜き去り勝利の歓喜の中、一体何が起こったのか!?