あるとき指の間に水かきが付いているとイメージをしてみた。野球のボールを握って足下に向かって一直線に投げるつもりで水をかいた。

ボールの大きさをハンドボールにしてみた。ハンドボールの方がしっくりときた。スタートのときのバサロキックには制限があるが、ならばと、今までより手のひらの厚みほど深いところを泳いでみた。

するりと身体が伸びる気がした。規定に反するときには、ビデオでその都度注意をしてくれる。試してみて、間違っていれば、見守ってくれる人がいる。安心していろいろな泳ぎ方を好きなように試せるのが面白い。

タイムが良くなっただけではない。エネルギーの使い方を考えることによって、より長時間の練習が可能になった。休憩の取り方も覚えた。プールにいるときも、ハードな練習と、ただ流して呼吸を整えるだけの、インターバルの練習の組み立て方を覚えた。

目一杯筋肉を使う間に、いたわる時間を挟み込む練習の方が、闇雲にずっと頑張る練習よりも、より効果的だと思えてきた。時々、座禅を組み、瞑目し、意識を頭から胸へ、胸からチャクラへ、さらに下の方に下げていって、無になった。

一日の時間の使い方、つまり、ストレッチなどに費やす時間と、基礎体力作りのための時間、プールの時間と学校の勉強時間の配分についても、愛莉が学齢期であることを考慮した時間割の指導があった。