三 学校の相対化現象
―見放される公立学校―

(2)〝まさか〟はなぜ起こったか

自分たちのペースで進める授業についてこられない者はそれまでというわけだ。 

身の丈に合った学校を勧めるのが中学校の進路指導だと言わんばかりの態度である。自分たちは何も変わろうとせず、手の内に収まる子しか相手にしないのだ。

「義務教育じゃないのだから仕方がないでしょう」という言い方をされることもある。「いやいや、私立高校だって義務教育じゃないですよ」と言いたくなる。

どんなに学校の統廃合を進めても、こんな意識が残っている限り、公立高校の相対化は止まらないだろう。

中学校に話を戻そう。先述の通り私立中学校の事情によっていとも簡単に公立中学校の学級が一つ消えた。これほどはっきりした相対化現象はないだろう。都市部でなくても公立中学校は選択肢の一つになってきている。

しかし、こうした現象を目の前にしてもなお、職員の多くは単に学級が一つ減るくらいにしか思っていない。社会の多様化により学校が相対化されつつあることを実感できないでいる。

そして、進路指導にも多様化の波は確実に押し寄せている。