筆者について

本論に進む前に、筆者のバックグラウンドについて紹介しておきたい。

筆者は、1990年代末から物流分野の調査・研究・コンサルティング活動に従事してきた。また現在は複数の大学で物流分野の教育活動に携わっているほか、中小企業大学校などで物流業や荷主企業向けの研修活動にも従事している。

一般紙、業界誌・紙やウェブ媒体で物流をテーマとした原稿を数多く執筆させていただいている。

これまでの経歴をざっくりと説明すると、最初の10年は財務省系のシンクタンク、次の10年間は物流・ロジスティクス専門団体の調査部門に在籍したのち、独立し10年ほどになる。最初に所属したシンクタンクでは物流以外の業務も担当していたが、それ以降の20年間は物流分野(中でも企業物流)の専業である。

コンサル市場の実態は外からは分かりにくいが、企業物流分野のコンサル(具体的には、企業の物流戦略立案や物流改善支援等の業務)はニッチ領域である。

筆者はこのようなニッチ領域で(たまたまながら)長く活動してきた希少種ということになるが、そのような経緯もあって、企業の物流実務関係者との接点がコンサル業界内では多い部類であり、業界事情に日常的に接する立場にあると言える。

本書の内容も、物流実務家の方々との交流を通じて受けた示唆がベースになっている。また、本書の論考の一部は、筆者が過去に様々な媒体に発表したものをベースに新たに執筆したものである。

株式会社流通研究社・月刊マテリアルフロー編集部など、これまで執筆の機会を頂いた関係各位に御礼申し上げたい。また、データ引用を承諾いただいた公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会等にも感謝申し上げる次第である。

本書のテーマである物流軽視の問題─、すなわち、物流への軽視が物流高度化を阻んでいるという問題も、筆者独自の見解というよりは、筆者が交流してきた物流実務家の方々の多くに共有されている問題意識である。

このような問題意識を広く社会に知らしめることは、昨今話題の「物流危機」を克服するうえで重要だと考えており、これが本書の最大の狙いでもある。

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