トレーシー・ヴィラのプールから発進する1号、クリフ・ハウスから発射台に移動する2号、ラウンド・ハウスから発射される3号、緊急ドックから出動する4号、そして宇宙で監視する5号、と思い出はつきない。
ただ、当時は島のエネルギー源は何だろうかと疑問に思っていた。2020年、デアゴスティーニ・ジャパンから出版された『週刊サンダーバード秘密基地』で、それが小型原子炉であることがわかり50年来の疑問が解消された。
そののちも、サンダーバードの生みの親であるジェリー・アンダーソンによって名作が生み出されたが、なんとしても発明したかったのが『ジョー90』に出てくる、脳波検出記録移送装置「ビッグラット(Brain Impulse Galvanoscope Record And Transfer:BIG RAT)」だった。
これを使えばスペシャリストの知識や経験を別の人間が保有できるとのことだったので、これを発明できれば、将来、いかなる人間にもなれると考え、どうすれば開発できるのかと小学生ながら真剣に考えたこともあった。見果てぬ夢だった。
実は、小中学校時代、図画工作あるいは美術が得意科目のひとつであった。絵画はそれほど好きではなかったが、工作は大がいくつもつくほど大好きだった。工作のある木曜日はとても楽しみで、5時間目と6時間目は与えられた課題に没頭した。
本当に至福の時間だったし、これほど授業に集中していた時間もなかったろう。結果、常に成績は、小学校2年生の2学期を除いて「5」であった。
小学校2年生2学期の成績が「4」になった理由は今でもよく覚えている。そのときの課題は、家にあるマッチ箱、空き箱などを利用して、自分の好きなものを作ることであった。
昭和30年代のことであるから、現在のティッシュ箱、包装箱などのような洒落た箱があるわけはなく、大きさの異なるマッチ箱が主体となった。まだ使っているマッチ箱の中身を全部出してまでマッチ箱を集めていたので、母からはだいぶ叱られた。
家で空き箱を集めている段階で、作りやすい「蒸気機関車と客車数両」を想定した。何箱かつなげて多少の装飾を施せば、蒸気機関車と客車にそれなりに見えるはずだということで、適当な箱を集めて客車の数を増やそうと考えた。
【前回の記事を読む】「そんな開発は不可能だよ。やるだけ無駄だよ」と言われたが、チャレンジし続けた結果…