「ありがとう。わたしたちは、雨が大すきなの。雨ふりの日は、みんなで歌うのよ」
水色のきれいな花が、元気よくいいました。
「じょうろの水は、雨じゃないよ」
ひなちゃんは、くすっとわらいました。
お花たちが、うれしそうに見えたので、もう一度水をかけてあげました。すると、花は、本当に歌いはじめました。
「雨がすき♪」
「じょうろもすき♪」
「さあ歌おう♪」
「いっしょに歌おう♪」
お花たちは、元気な声で、なん度も歌いました。歌に合わせて、アマガエルまで出てきました。アマガエルにも水をかけると、うれしそうにでんぐり返しをしました。
「これ、なんていう花かなあ?」
ひなちゃんは、名前も知らない花がすきになりました。
花は、歌いおわると、
「たくさんの雨をありがとう。宿題がんばってね」
そういって、ぴんと立ち、前を向きました。アマガエルは、いつのまにかいなくなりました。
ひなちゃんは、部屋に入って、絵をかきはじめました。絵の具に水をまぜ、水色とむらさき色と青色の、こい色とうすい色を作りました。小さな花に色をぬっていくと、花がわらっているように見えます。大きな口をあけて、歌っているようにも見えます。花の近くで、でんぐり返しをするアマガエルもかきました。
ようやく、花の絵がかけました。でも、できあがった絵が、ちょっぴり気にいりません。
「何か、足りないんだよね」
ひなちゃんが、絵を見ながら考えていると、
「ただいま~」
お母さんが帰ってきました。
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