【註】 タラントギー:タラント(才能・使命)由来の造語。

本書では、内なる閃きをエンパワーする能力、あるいはそうした能力を備えた人を表している。

まえがき

「この子はお宝の饅頭じゃ」微(かす)かに記憶に残る曽祖父 通暁(みちさと)の口癖である。通暁はそのあと必ずこう続けた。「お前は賢い。そして心も身体も強い。だからいつも困った人や弱い人を助ける人になるのじゃ」

相川は、困難や危機に直面すると、記憶の奥底に埋め込まれた通暁の言葉が心に浮かぶと同時に不思議な閃きを感じるのだった。

小学校の事務職員として平々凡々な毎日を送る相川だったが、この不思議な閃きに導かれて思いもよらぬ刺激的な人生を歩み始める。

九時五時で机に向かい前例踏襲の単純業務ノルマをこなすだけだったはずの公務員生活が、一瞬のチャンスを掴み取ることによって誰も真似ができない波乱の展開を見せ、多くの職場で様々な経験を積みながら、いつしか一騎当千の強者「タラントギー」に鍛え上げられていく。

1 南奥戸小学校

2年間の就職浪人を経て東京都庁の採用試験に合格した相川だったが、待ち受けていたのは葛飾区立の南奥戸小学校への配属だった。区立小学校は都職員である教員と区職員の現業職(給食調理・学童養護・用務員)で構成されるが、事務室だけは都職員と区職員が混在していた。

学校事務というとチョークなどの事務用品の調達のほか教職員の給与福利厚生を扱ういわゆる行政職なのだが学校では〇〇先生と呼ばれていた。当時の勤務実態は今から想像もできないほどのどかでおおらかだった。