エッセイ 人生論 短歌 生き方 2020.07.20 ささやかに生きてしあればいささかの幸あればよし 短歌集 生きる 【第9回】 田中 祐子 心かが折れてしまいそうなとき、 寄り添い支えあう、心の歌。 原爆の悲劇、夫との死別、複数の病との闘い……。時代に翻弄されながらも困難と向き合った歌人が、自らの経験を生きる糧に代え、詠みあげる709首。平和で豊かな未来を願い、いまを生きる人に伝えたいメッセージを、連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 第一章 花と木と ねむられぬ夜
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『小窓の王』 【第5回】 原 岳 「息子は何で死ななけりゃならなかったのか……本望だった、本望だったって、そう思わんと救われんのでね」 「私もね、若い頃には山によく入ったものですから、一応のことはわかっているつもりではあるのですがね。しかしハイキングに毛が生えた程度の山登りしかやってなかったですから、登攀なんかは別世界でね。もう、冬の剱岳などは想像もつかないけど、そりゃあしんどいのでしょうねぇ」言葉は出ず、顎を縦に振って相槌を打つ。「本当にねえ。想像もつかないから、だから透がどういうところに挑戦して、どういうところで死んだのか、…