エッセイ 人生論 短歌 生き方 2020.07.21 白き錠剤掌(てのひら)に置く 短歌集 生きる 【第10回】 田中 祐子 心かが折れてしまいそうなとき、 寄り添い支えあう、心の歌。 原爆の悲劇、夫との死別、複数の病との闘い……。時代に翻弄されながらも困難と向き合った歌人が、自らの経験を生きる糧に代え、詠みあげる709首。平和で豊かな未来を願い、いまを生きる人に伝えたいメッセージを、連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 第一章 独り 写真を拡大 老いる 写真を拡大
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『心ふたつ』 【最終回】 高田 知明 一世一代の悪霊退散の儀式。今まで代々と長男を守り、時には呪ってきた「ふみ」さんは計画通りに現れた...!! 「弘樹さん。貸衣装もバッチリよ」陽菜は持ち帰った紙袋をぽんと叩いてVサインを出した。午後二時過ぎになると、俺の両親と姉がやってきた。姉がひろみの顔を見て「かわいい」と言っている横で、両親は陽菜の顔を見て唖然としていた。「これならうまくいくかもしれないな」それまで不安でいっぱいだったが、この父の言葉に励まされた俺は、これから始まる対決に、自信をもってやればいいのだと自分を励ました。「何がうまくいく…