エッセイ 人生論 短歌 生き方 2020.07.21 白き錠剤掌(てのひら)に置く 短歌集 生きる 【第10回】 田中 祐子 心かが折れてしまいそうなとき、 寄り添い支えあう、心の歌。 原爆の悲劇、夫との死別、複数の病との闘い……。時代に翻弄されながらも困難と向き合った歌人が、自らの経験を生きる糧に代え、詠みあげる709首。平和で豊かな未来を願い、いまを生きる人に伝えたいメッセージを、連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 第一章 独り 写真を拡大 老いる 写真を拡大
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『しあわせについて』 【第3回】 杉野 六左衛門 軍需工場へ勤労動員に出ている二年生に代わって、特別に三年生が一年生を指導をするという。 朋たちを見つけた部長の生徒がステージを降りてきた。 「こんにちは岩代さん、きょうは部活の見学?」「はい」部長は目で朋を示しながら、「この娘(こ)は?」「こんど市女から進学してきた栗山朋さんです」「それで見学に連れてきたの?」「はい」「栗山さん、合唱部は気に入った?」「はい、素晴らしかったです。感激しました」「じゃあ入部してくれるわね」「でも、わたしには難しそうです」「大丈夫よ、みんなそう思って…