エッセイ 人生論 短歌 生き方 2020.07.27 「はい、私」とボタン押しつつ心ときめく 短歌集 生きる 【最終回】 田中 祐子 心かが折れてしまいそうなとき、 寄り添い支えあう、心の歌。 原爆の悲劇、夫との死別、複数の病との闘い……。時代に翻弄されながらも困難と向き合った歌人が、自らの経験を生きる糧に代え、詠みあげる709首。平和で豊かな未来を願い、いまを生きる人に伝えたいメッセージを、連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 第一章 人恋う 写真を拡大 雛飾る 写真を拡大 独り居 写真を拡大
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『レッド・パープル』 【第12回】 そのこ+W 分家と立場が逆転…。だが、嫌がらせをしてきた男が死んでいるのが発見された 戦後四、五年経つころからようやく人も物も回復の兆しを見せ始め、そこへ朝鮮戦争特需が加わって日本経済は息をふき返しつつあった。以前神林の会社で働いていて戦争を生き延びた船員も会社に戻って来た。彼はそれらの元船員を米軍の運搬船に貸し出した。彼は地元の信用金庫に融資を頼んだが、担保が少ないという理由で貸し渋られていた。窮余の策として目を付けたのは、同じ鶴前の海運会社を経営する乾(いぬい)芳雄(よしお)…