俳句・短歌 短歌 2021.08.15 短歌集「命の雫」より三首 短歌集 命の雫 【第3回】 田中 祐子 癌と甲状腺機能低下症を患いながら、戦争の悲惨さ、 命の重さ、生きることの煌めきを詠み続ける92才の歌人。 待望の短歌集第3弾。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 思い出と一緒に歩あるく厳島いつくしま今は桜の無き季節ときであり 菜の花畑の向こうに造船所のありてキラキラと海輝いている 降る雨も急ぎ足にて通り過ぐ菜の花畑まだ蕾にて
エッセイ 『プレナイト[人気連載ピックアップ]』 【第6回】 天乃 神龕 集中治療室には、変わり果てた夫の姿があった。声をかける私に、肩を揺らして笑ってみせた夫。その笑顔に胸が張り裂けそうになり… 【前回記事を読む】仕事から帰らない夫。携帯には、知らない番号からの何十件もの通知…胸騒ぎがする中折り返すと、その相手はまさかの…ともに永遠に道中では、ドクターヘリの搬送の時点でなんとなくもう元の体には戻らないことくらいは理解していた。低酸素血症なのか高次脳機能障害なのか……。人工心肺でも付けているのか、もしくは蘇生中なのか。まだ小学2年の長男と年長の次男になんと説明したらいいんだろうか。まだ歩け…
小説 『大人の恋愛ピックアップ』 【第57回】 安本丹 私のことを好きだと言うのに、風俗で働くことを辞めて欲しいとは言わない彼。ああ、彼と一つになりたい。もう我慢の限界かも… 【前回の記事を読む】身勝手な旦那の言葉に怒りすら感じないのはもう彼と真剣に向き合っていないから……彼のことはもう私はどうでもよくなっていた夕暮れ時のスーパーは人の出入りが嫌に多い。車で電話していると何度か買い物客と目が合った。そんな視線をよそに私から提案した。「来週の水曜日あたり、ついにしませんか?」ショウ君の息を呑む音が聞こえた。私が夕方から空いている旨を伝えると彼は温泉旅館に行きたいと言うの…