俳句・短歌 短歌 2021.08.15 短歌集「命の雫」より三首 短歌集 命の雫 【第3回】 田中 祐子 癌と甲状腺機能低下症を患いながら、戦争の悲惨さ、 命の重さ、生きることの煌めきを詠み続ける92才の歌人。 待望の短歌集第3弾。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 思い出と一緒に歩あるく厳島いつくしま今は桜の無き季節ときであり 菜の花畑の向こうに造船所のありてキラキラと海輝いている 降る雨も急ぎ足にて通り過ぐ菜の花畑まだ蕾にて
エッセイ 『ある朝、突然手足が動かなくなった ギランバレー症候群闘病記[注目連載ピックアップ]』 【最終回】 市川 友子 殺し屋の看護師たちが私にのしかかっていた。とうとう腰の骨を折られて殺されると覚悟した。 幻覚と現実の交差注射器で毒を打たれそうになり、私は打たれまいと速い呼吸を繰り返していた。「落ち着いて、深呼吸して、ゆっくりと」看護師さんの顔が目の前に見えた。点滴の針を取り替えているところだ。それなのに殺人鬼扱いされたのでは、看護師さんもたまったものではない。私はラジオ局に助けを求めた。病院に監禁されている私と家族を助け出してくれと訴えた。しばらくすると大勢の人が病院を取り囲み、何人かが病院に侵…
小説 『愛しき女性たちへ[人気連載ピックアップ]』 【第19回】 白金 かおる マッチングアプリで出会った美女から「これから二人で過ごせますか?」と言われ、初対面で関係を持った友人。彼に触発され… 【前回の記事を読む】60代のうちは女性と食事やお酒、おしゃべりを楽しみ、その先も楽しむような素敵な時間を共有したい。多少多めの金は使えるし…だが昭夫のようにちゃんと治療を受けることによって、発症する前と同じように人生を送ることが出来る人間もおり、その決断をしなければならない時にどのような判断を下すのか、秀司は自分でもわからない。今の仕事の状況、愚痴や文句、共通の友人たちの消息、今後の身の振り方な…