俳句・短歌 短歌 2021.08.15 短歌集「命の雫」より三首 短歌集 命の雫 【第3回】 田中 祐子 癌と甲状腺機能低下症を患いながら、戦争の悲惨さ、 命の重さ、生きることの煌めきを詠み続ける92才の歌人。 待望の短歌集第3弾。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 思い出と一緒に歩あるく厳島いつくしま今は桜の無き季節ときであり 菜の花畑の向こうに造船所のありてキラキラと海輝いている 降る雨も急ぎ足にて通り過ぐ菜の花畑まだ蕾にて
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『司法崩壊! ~刑務所が足りない!起訴できない!~』 【第5回】 利根川 尊徳 「警子のけいの字が警察の警って、よくそんな名前付けたよな」とつい口にしてしまった 昼食を食べ終える頃、桜田が「こんな食事を規則正しく摂取していたなら、痛風や糖尿病持ちの反社の幹部達も、食事療法とタバコもお酒も飲めない徹底した節制のお陰で頗(すこぶ)る健康な体になって出所していくわけね」と呟くと「全くその通りなんです。入所の際の健康診断で血圧や尿酸値が指摘された収容者が、一年以上入所しているとほぼ正常値まで数値を改善して出所してゆきます。正に日本が飽食なのだと痛感させられる瞬間…