俳句・短歌 短歌 2021.08.02 短歌集「命の雫」より三首 短歌集 命の雫 【第1回】 田中 祐子 癌と甲状腺機能低下症を患いながら、戦争の悲惨さ、 命の重さ、生きることの煌めきを詠み続ける92才の歌人。 待望の短歌集第3弾。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 色褪せし芝生を照らす秋の日の闌たけて夕べの広きグラウンド お手玉に入れればシャカシカと音を立てそう茶色のバラの実 ハガキ一枚来れば楽しき日とならむ明るさが吾われを包む真昼間
エッセイ 『良子という女[注目連載ピックアップ]』 【第7回】 野村 よし 「あなた、私は幸せでした」…妻は状況を直感していたのだ。私は言葉を返すことができず、妻から離れた。 【前回の記事を読む】「お母さんが嘔吐を繰り返してる。いま救急車出発した」娘からのメール。私は結婚式の帰りの新幹線の中で、酒を呑んだし、雨だし…私の心臓は躍りだした。先生はAという御自分の名札を見せた。若い先生だった。A先生は低い声でゆっくりと話した。それが私の耳には聞き取りにくかったが、要は、「腸閉塞は確実にあります」「問題は腸閉塞が何を原因として起こっているか、です」「一番考えられるのは“大腸…
小説 『終恋 [人気連載ピックアップ]』 【第4回】 高生 椰子 初恋の人と40年ぶりに会うことに。待ち合わせ場所で(あの人なら会いたくないな)と思っていると「緑のジャンパーを着ています」と… 【前回の記事を読む】40年会ってない元カノに会いたくなる男の心理って? 男友達に相談すると「俺なら会わん。何かあるで、それ」…嫌な予感がする待ち合わせ場所である梅田駅前のビルに着いたのは約束時間の15分前だった。一階の書店で10分程雑誌の立ち読みをするが、文字が頭に入ってこない。5分前に指定したエレベーター付近に移動すると何となく彼に似た細見で小柄な男性がリュックを背負って立っていた。ちょっと似…