こうした在り方は、実は、いつの時代にも通じます。
『学習指導要領』は、およそ十年に一度改訂されますが、そのたびにその記述に振り回されるのではなく、しなやかさと強靭さを併せもった姿勢で臨むことが大切であるといえます。
日本人のよいところとしていわれる「まじめで勤勉」というのは信用にもつながる長所であるのは確かですが、それが「誰かに決められていること」や「もはや通用しなくなっていること」等々に頑なに留まり、ひたすらこなし続けるという現れ方をしたならば、望ましくない大変化に飲み込まれてしまいます。
文化遺産の伝達は学校の大切な機能の一つですが、新しい価値を創造できる能力を育てていかなければ、自分たちの暮らす世の中が持続可能でなくなってしまうかもしれません。
イノベーションを起こせる人は、一握りの天才や、特別に優秀な人だけに限られるのではなく、そうした能力は、学習によって後天的に身に付けられ、決して先天的な能力ではない4)といいます。
4)ヤング吉原麻里子・木島里江『世界を変えるSTEAM人材』朝日新聞出版、2019、p.108.