【前回の記事を読む】マンモス団地・若葉台…現役ママたちが「ここで子育てできてよかった!」と語るワケ
若葉台に越してきた頃
若葉台に引っ越してきました
仕事先は、経営者の自宅のリビングルームが事務所になっていて、玄関を入ると右側は洋裁をしている奥さんの仕事部屋でした。
最初、部屋の隅に人がひっそり立っていて、あ、と思いましたが、それは、洋裁で使うトルソー(人型)でした。夕暮れ後の薄闇の中に立っているのはなかなか迫力のある光景でした。
事務所兼リビングルームで仕事のやりとりや次回の打ち合わせなどするのですが、その間も長女をずっと背中におぶっていました。奥さんが途中でいつも、紅茶とアップルパイを出してくれ、人に慣れたペルシャ猫がよく私の膝の上に乗ったりしていましたが、長女はいつもおとなしくしていて、背中からそんな光景を見ながら打ち合わせが済むのを待っていてくれました。
次男失踪事件
次男が3歳、長女が2歳になった頃、ご近所には同じ年頃の子がとても多くて、自然に遊び友達もできました。同じ棟にも次男の同級生がたくさんいて公園やおたがいの家で遊んでいました。
昼近くなると、〇〇ちゃーん、お昼食べていけばーと言って、おむすびやうどんやサンドイッチなど、簡単なお昼を用意してそのまま、午後の遊びに突入する、というのが多かったようです。また、どこかに遊びに行ってると思うと、昼近くに電話が鳴ります。
「Sちゃん、うちでお昼食べてもらうわね」
「悪いわー」
「平気、平気。うちの子たちと一緒だから」
と、毎日そんな風で半分はご近所のママたちに子育てしてもらったようなものです。
ところがある日、昼の時間をとっくに過ぎても帰ってきません。午後1時を過ぎ、2時を過ぎて、さすがに心配になりあちこちの公園を探して歩きました。次男はどこにもいませんでした。休日で夫もいたので手分けして探しましたが、どの公園にもいませんでした。ついに110番に電話することに。
「息子が戻ってこないんです。いつも昼には帰ってくるのに」
もう必死になって言いましたね。おまわりさんは、家まで来てくれて玄関でていねいに対応してくれました。次男の様子を聞いて手帳にメモをして帰り、捜索願いのようなものを出してくれたようです。そして、今思い出しても赤面するのは、おまわりさんに、「うちの子は可愛いから誘拐されたのかもしれません」なんてことをぬけぬけと言ったことでした。