弥三郎が足繁く観世の座へ通う内、三郎に替わって十郎が稽古を見てくれるようになった。弥三郎は嬉しく思いつつも、次第にある微妙な居心地の悪さを感じるようになっていた。三郎はその時々の舞台に必要な稽古を徹底的にやるという、非常にわかりやすい方針で弥三郎を鍛えてくれたのだが、十郎は違った。十郎が主に教えてくれるのは、初心の者に学ばせるような、ごく基本的な型で構成された仕舞が多かった。中には弥三郎もほとん…
時代小説の記事一覧
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