団地に住む同級生で根津君って子がいた。気が弱そうな奴で、6年生の冬に亡くなっている。心臓が弱かったらしい。その彼に案内されて団地の内部に一歩足を踏み入れたときの印象は忘れられない。両開きで重たい引き戸をガラガラッと開けてなかに入ると、同じ構造の部屋が遠くまでズラリと並び、薄暗い廊下の幅は広かったが、各部屋の前にはところ狭しと自転車や乳母車が置かれている。ドアを開けていよいよ根津君の部屋に入ってい…
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